ジュニア女子バスケ選手へのトレーニング&ムーブメント指導


こんにちは。

千葉県と茨城県を中心にフィジカルトレーナーとして活動している宮城です。

先日ご縁をいただき小、中、高校生の女子バスケットボール選手を対象にトレーニング(筋力)とムーブメント(動作)指導を行いました。

普段は水泳や陸上、競輪などのスポーツにかかわる機会が多く、球技系スポーツにはなかなかご縁がありませんでした。

そんな中このお話をいただきとても嬉しかったです。

スキルコーチが指導する中で、技術的なもの以前にフィジカル要素(体力=筋力や柔軟性など)に課題が多くあるとのことでお声掛けくださいました。

 

・選手たちの課題

事前にコーチからお伝えいただいた課題は以下の通りです。

・パワーポジションがうまく取れない

・床をうまく捉えられない

・動き出しが遅い

・動き出しが弱い

・動きに緩急がない

・抜重(ばつじゅう)できない

この課題に対してフィジカルトレーナーとして何ができるかを考え、資料作りと指導計画を立てました。

 

・高いパフォーマンスを発揮するために

バスケを上手くするためになぜ筋力や動作をトレーニングする必要があるのか?

まずその点について簡単な資料を使ってお話をさせてもらいました。

バスケの動作を分類し、パフォーマンスを構成する体力要素(パフォーマンス前提)を確認しました。

そして体力要素をパフォーマンスピラミッドに当てはめると、バスケの技術を向上させるためにはピラミッドの底辺部分を厚く広げることが大切だと伝えました。

そしてコーチが指導している中で感じている課題のほとんどがパフォーマンスピラミッドの底辺である、姿勢や関節の可動性、安定性であることを理解してもらいました。

 

・動きやすい状態を作る

なぜの部分を理解してもらい、ここからはとにかく動いてもらいました。

ムーブメントプレップ(動作準備)として動きを伴うストレッチ(ダイナミックストレッチ)や体幹部の安定性を作るエクササイズなどを行い、神経-筋のアクティベート(活性化)を促して動きやすい状態を作りました。

それと同時に動きを観察することで各々の身体の使い方や動作パターンのチェックをしました。

 

・荷重感覚の確認と基礎ムーブメント

課題の中に「床をうまく捉えられない」というものがあったので足裏の感覚を確認しました。

片脚立ちになってもらったり、ペアになり相手の肩に真上から体重をかけてもらったりして足裏のどの部分に体重が乗っているのか?そしてそれが姿勢によってどう変化するか?などを感じてもらいました。

その後パワーポジションを作るために3つの基礎ムーブメント

・ヒンジ (Hinge)

・スクワット (Squat)

・SKB (Small Knee Bent)

を説明して覚えてもらいました。

頭部-脊柱-骨盤のラインを分かりやすくするためにスティックを使用して各動作を実践しました。

その上でパワーポジションを作ってもらうことで感覚や姿勢のエラーを修正することができました。

 

・筋力トレーニングとプライオメトリクス

ジュニア期の筋力トレーニングは「身体を自在にコントロール出来るだけの筋力の養成」が必要だと私は考えます。順序としては

自体重と重力を使い安定した状態でのエクササイズ

支持基底面を狭くして不安定な状態(片脚など)でのエクササイズ

自体重以上の負荷(ダンベル・チューブなど)を用いたエクササイズ

 

というようにプログレッションさせていきます。もちろん最初の段階ですでに難しい、エラーが出てしまう場合もあります。その時は補助を入れたり、全体重ではなくその半分だけかかるようなポジションで行わせるなど工夫していきます。

今回は基礎ムーブメントで確認したスクワットを取り出してエクササイズとしました。

自体重で行い、さらにペアで負荷をかけるパターン、そしてジャンプスクワットへと繋げました。

ジャンプスクワットはプライオメトリクスと言って伸張反射を利用したエクササイズとなります。

筋肉は急激に引き伸ばされると縮むという反応を利用したトレーニングになります。

ジャンプ力の向上はもちろん全身のパワーや力の連動、基礎ムーブメントとしても大変有効なエクササイズです。

その他にも縄跳びのように連続してジャンプをするポーゴジャンプも行い、アキレス腱の強化や弾む感覚を養ってもらいました。

 

・スピード&リアクション

速く動く、反応するということに焦点を当てて動きました。

ここでのリアクションは課題にもあった抜重(ばつじゅう)が反応として自然に出るようなボールを使ったドリルを行いました。

これをやると抜重だけでなくパワーポジションが身についているか?怪我をしないだけの下肢筋力があるか?基礎ムーブメントのエラーが出ていないか?などのチェックもできます。

最後に15mほどの距離でダッシュを繰り返しました。プライオメトリックエクササイズでの感覚を利用して走ってもらい、速く、強くを意識しながら様々なパターンでスタートも行いました。

 

コーチ達はダッシュする選手を見て「今までにこんな速い動きを見たことがない!」と言ってもらえました。

選手の皆さんもベースが整い、動きやすい状態ができれば良い感覚で動けることを体感してもらえたようです。

 

今回は約2時間の指導でしたので、できることが限られましたがその中で伝えたかった要点はしっかり押さえることができたと思います。

 

課題に対する解決策として基礎ムーブメントの宿題を出させてもらったので、次回また指導させてもらう際には姿勢や動きが少しでも変わって、バスケに還元できていることを楽しみにしたいと思います。

 

選手、コーチの皆さんありがとうございました!

そして今後とも宜しくお願いします!

 

フィジカルトレーナー

宮城カズタカ

 

 

 

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